Arts

唐長本店・雲母唐長とは

唐長本店・雲母唐長(きらからちょう)は、寛永元年(1624年)に京都で創業した約400年続く日本唯一の唐紙屋です。唐長の現当主は、13代目千田愛子。唐紙(からかみ)とは、和紙に木版手摺によってうつしとられる美しい装飾紙をさし、平安時代に文字を書くための詠草料紙(えいそうりょうし)として用いられたことが起源とされます。鎌倉、室町時代の頃からは建築様式の変化に伴い、衝立や屏風、やがて襖や壁紙などの室内装飾に用いられるようになりました。江戸時代には花開き、神社仏閣のみならず、武家や公家、町人や茶人などに幅広く愛でられた文化となりました。いにしえの唐紙は、時を超えて存在し、雲母摺の文様と文字が相まった陰影の美しさは特筆すべきものがあります。美しい唐紙は、人間の大切な思いや願いを言葉と共に運びました。文様により運ばれた言葉は、誰かが誰かに宛てたものだけに留まりません。雲母引きや雲母摺などの唐紙に書き記された「古今和歌集」や「三十六歌仙」は、王朝芸術の名宝として1000年の時をこえて、今なお私たちの目の前に煌めく日本の美として存在しています。また、江戸時代初期、王朝文化の復興を目指し出版された「嵯峨本」は、本阿弥光悦、角倉素庵らの一派が、京都の嵯峨の地を舞台に刊行された書物で、「光悦本」「角倉本」とも呼ばれています。私どもの初代がこの「嵯峨本」に携わったと伝えられており、唐紙に書が相まった陰影の美しさは美術的にも工芸的にも特筆すべきものがあります。唐長には、木版(板木はんぎと呼ぶ)が、先祖代々大切に受け継がれており、その数は600枚以上にも及びます。天明8年(1788年)の大火で大半の板木を焼失しますが、その後も唐紙屋を続け板木を再版してきました。この大火直後に彫られた貴重な板木も現存しており、裏書きが確認できるものは、寛政三年十一月(1791年)とあります。先祖代々伝わる古文書によると、天保10年(1839年)頃、京都に存在した唐紙屋は13軒、その多くは元治元年(1864年)の蛤御門の変の「鉄砲焼け」で板木を焼失しましたが、唐長は戦乱の火災から奇跡的に板木を守り抜いたのです。数々の戦乱、天災など苦難を経て明治時代以後、文明開化など人々の暮らしの変化に伴い唐長以外の唐紙屋は全て廃業。また江戸地域での唐紙屋も、関東大震災、東京下町大空襲などにより板木を焼失し途絶えることとなりました。昭和の中頃、唐長10代目の指導もあり、復興された東京の唐紙屋もありますが、歴史的背景として、江戸時代より途絶えることなく板木を守り、使い続け、代々続けてきた唐紙屋は日本でただ1軒。唐長は、江戸時代から続く日本最後の唐紙屋として、現在も唐紙の制作を続け、唐紙文化を伝えています。(唐長・雲母唐長HPより)

2008 唐長との出会い

それは、1冊のインテリア雑誌の1頁に私が触れた時でした。「Property in Japan」唐長「歴史と伝統に培われた日本の色と文様」と題し、「Property」という広い意味合いも込めて、唐長が紹介されていました。唐紙は、平安時代から襖などに使用されていたもので、寛永元年(1624)創業、伝統ある唐長の歴史が、現代に受け継がれ、今も唐紙を創り上げている。インテリア雑誌の紹介ということもあり、私の第一印象は、唐紙の文様が綺麗なアート作品のように思えました。そののち、私は、その400年の歴史や重みを、深く感じ、知る事となります。美しい文様は、忘れかけていた「日本の美意識」を、素直に私に伝えました。それは、あまりにも衝撃的で、気がつけば私は、アポなしで四条烏丸にある雲母唐長四条店に出向いていました。しかしながら、四条店ではオーダーの受付はなく、突然お伺いした非礼を、知る事となります。改めて、本店へ予約をし、別日に伺う事となります。遅まきながら、私はだんだん唐長の歴史の重みを感じはじめにわかに緊張が高まったのを、今でも覚えています。そんな私を、とても丁寧に手厚く迎えてくださった千田愛子氏(2022年唐長13代目となる)唐紙師 トトアキヒコ氏。お二人から、江戸時代から伝わる板木を見ながら、文様の意味、唐長の歴史を教えて貰いました。私は、以前から建築空間とアートの融合を提案したいと思っていました。お二人に触れ、私が思う建築、インテリアデザインの捉え方を伝えたところ、意気投合しおつきあいが、始まりました。弊社では住空間・商業施設のデザインを数多く手がけております。建築デザインの中に「唐長」の日本に伝わる美をご紹介させていただく事で、皆様の暮らしが、より豊かになればうれしく思います。2016年には、磐田グランドホテル和食処改修工事、oriori gallery受付に唐長アートパネルを採用するなど、インテリアとして建築空間に生かしています。2021年からは、oriori galleryにて唐長アートパネルの展示販売も始まりました。是非皆様に日本の至宝 美しい伝統を身近にご覧いただき、今のお住まいに取り入れていただきたいと思います。   (有)ラグデザイン・oriori gallery オーナー伊藤晃好

oriori gallery フロント

納品事例

磐田グランドホテル様

貸別荘FUWARI hamanako様

M様客室

A様床の間